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2008年2月26日 (火)

「言志録」 6

 そろそろ「まえがき」は省略して、いきなり「言志録」の口語訳文を引用する。

 頭脳が冷静ならば、正しい判断ができる。背中が暖かいならば、熱烈に人を動かすことができる。虚心坦懐にして我見がなければ、他人を容れることができる。腹が充実していれば、胆力が据わって物に動じない。人間はかくありたいものだということである。(19)

 少し意訳が過ぎる感がある。書き下し文は、「面は冷ならんことを欲し、背は暖ならんことを欲し、胸は虚ならんことを欲し、腹は実ならんことを欲す。」と、きわめて簡略な表現。両者を合わせて味わうべきか?

 人の上に立つ者は、かくありたいもの。どんな組織にしても、トップになると的確な判断、人の意見に心を空しゅうして耳を傾け、感化的統率力を示し、難局には断固たる決断をする、こういったことが必要だ。天性としてこういう能力を備えている者もいないでもないだろうが、多くは努力、修養によって指導者たる資質を備えるようになるのだと思う。

かつて、あるすし屋でトイレに入ったら、そこに「つもり条」というタイトルで10か条の言葉が書いてあった。面白いと思ったので、書き取っておいたが、その後この言葉が「つもり違いの10か条」ということで、ある対談の中で深瀬次郎(ヤナセ会長)が言っているのを見た。2箇所ほど、両者で単語の違いがあるが、すし屋で見かけたものによって紹介する。

1条 高いつもりで低いのは教養       2条 低いつもりで高いのは気位

3条 深いつもりで浅いのは知識       4条 浅いつもりで深いのは欲の皮

5条 厚いつもりで薄いのは人情       6条 薄いつもりで厚いのは面の皮

7条 強いつもりで弱いのは根性       8条 弱いつもりで強いのは我

9条 多いつもりで少ないのは分別      10条 少ないつもりで多いのは無駄

 「言志録」の人間はかくありたいということは、俗世間的な生活を送っている老人にとっては、そうなることは望ましいには違いないが、もはやそれほど努力目標にする気にならないこと。それよりも、「つもり違い」は日常生活の中で自戒、自省すべきものとして身近である。

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